小瀬古文庫 > GITAI-GRAPHY

GITAI-GRAPHY

生物の擬態に着想を得たグラフィックデザインの実験

Gitai-Graphy(擬態デザイン)は生物の擬態に着想を得て、異なる二つのイメージを精密に重ねるグラフィックデザインの実験です。生物ではなく「物の擬態」をヴィジュアライズし、新たな視点と思考を提起しています。

擬態という驚くべき容姿の一致は生物界の専売特許のようですが、身の回りの「もの」にも身を潜めています。昆虫が自身の形と色を自然に似せるように、静物も擬態を通じてデザインに新たな驚きをもたらすことが出来るのではと考えました。

ここでは「地図の肉」や「惑星のハム」のように既存の概念で成立しないけど、視覚的には成立する表現が数々登場します。新たな関係を目撃した時、どのような認識が生まれるでしょうか。

RESEARCHES|これまでの実験

  • PLANETS=COFFEE

    PLANETS=COFFEE

  • PLANETS=EGG

    PLANETS=EGG

  • PLANETS=HAM

    PLANETS=HAM

  • MAP=SNOWFLAKES

    MAP=SNOWFLAKES

  • MAP=TREE

    MAP=TREE

  • MAP=MEAT

    MAP=MEAT

視点を変える擬態デザイン

物の見方を変えることが擬態デザインの重要な要素です。元となる地図や写真の形は変えずに、色の変更や要素の追加によって元のイメージが新たな視点で見えるようにしています。例えば惑星をハムに見立てた「PLANETS = HAM」の場合、下記の方法で見立てています。

1. NASAによる惑星写真(パブリックドメイン)を用意する
2. 色調変更などのレタッチをPhotoshopによるデジタル編集で行う
3. 食器やパッケージなど、食品にまつわるイラストレーションをIllustratorで加える
4. 食品との親和性の高いものが現れるまで、 1~4のプロセスをトライ&エラーで繰返す
5. シズル感が強く現れる惑星と食品の組み合わせを見つけたら、ブラッシュアップを行う。元の写真が持つ惑星のテクスチャーを損なわないよう、細密に調整する

対象①天体

Semi-Fictionシリーズ

2020年〜

天体のように存在を直接肌で知覚できないものを「半架空(semi-fiction)」と定義し、シズル感の視点でヴィジュアライズする実験。NASAによる惑星写真(パブリックドメイン)の色調を変え、様々な食品や飲料に見立てた。

実験を通して、様々な見え方の変化を発見することを目的している。地球の大気が、ある時はハムの脂身となり、またある時はコーヒーのミルクに見立てられる。さまざまな天体の捉え方の変化を採集し、日常に潜む壮大な宇宙の天体性についてリサーチを重ねている。

②地図

Mimetic Mapsシリーズ

2016年〜

2016年から開始したシリーズ。擬態デザインの対象として、地表の精密な測量成果である地図に着目した。地図の色やレイアウトを変えることで、普段の地図からは見えてこない擬態を可視化する試みだ。それは自身の関心が地理にあり、幼少の頃より愛着を持ってきた対象であったことも理由の一つである。地形的特徴が擬態デザインを通して別の何かに見立てられた時、新たなに見えてくる意味を期待し、さまざまな地図でない地図を可視化した。