大学院から続けている夕暮れの研究の3作目。夕暮れ空を見ている時、一度目を離し再び空に目をやると、いつの間にか暗く変化していることがある。この「いつの間に」という感覚を発露させるような、繊細な変化の性質を「静動」と名付け、実験的なデジタルグラフィックを制作した。
見掛け上はプロジェクターで投影されたデジタルグラフィックだが、ふと目を離すとaがdに文字の形が変化したり、ポスターの図柄内の時計が実は変化していたりする。変化を魅せるモーショングラフィックではなく、あえて変化を隠すことでどのようなレトリックが生まれるかを模索した。
ふとした隙に自分の認識と異なるものが目の前に現れる、はっとするような感覚を展示を通してデザインした。現在の擬態シリーズとはまた異なる、新たな表現を見つけ出す取り組みだ。
最初の時点での見た目。小文字のa~zが並んでいる 上の文字が90秒経った状態。認識できない変化がこの文字には働いている 180秒経つと、完全に別の形に変わっている