RESEARCHES|これまでの実験
視点を変える擬態デザイン
物の見方を変えることが擬態デザインの重要な要素です。元となる地図や写真の形は変えずに、色の変更や要素の追加によって元のイメージが新たな視点で見えるようにしています。例えば惑星をハムに見立てた「PLANETS = HAM」の場合、下記の方法で見立てています。
1. NASAによる惑星写真(パブリックドメイン)を用意する
2. 色調変更などのレタッチをPhotoshopによるデジタル編集で行う
3. 食器やパッケージなど、食品にまつわるイラストレーションをIllustratorで加える
4. 食品との親和性の高いものが現れるまで、 1~4のプロセスをトライ&エラーで繰返す
5. シズル感が強く現れる惑星と食品の組み合わせを見つけたら、ブラッシュアップを行う。元の写真が持つ惑星のテクスチャーを損なわないよう、細密に調整する
対象①天体
Semi-Fictionシリーズ
2020年〜
天体のように存在を直接肌で知覚できないものを「半架空(semi-fiction)」と定義し、シズル感の視点でヴィジュアライズする実験。NASAによる惑星写真(パブリックドメイン)の色調を変え、様々な食品や飲料に見立てた。
実験を通して、様々な見え方の変化を発見することを目的している。地球の大気が、ある時はハムの脂身となり、またある時はコーヒーのミルクに見立てられる。さまざまな天体の捉え方の変化を採集し、日常に潜む壮大な宇宙の天体性についてリサーチを重ねている。
②地図
Mimetic Mapsシリーズ
2016年〜
2016年から開始したシリーズ。擬態デザインの対象として、地表の精密な測量成果である地図に着目した。地図の色やレイアウトを変えることで、普段の地図からは見えてこない擬態を可視化する試みだ。それは自身の関心が地理にあり、幼少の頃より愛着を持ってきた対象であったことも理由の一つである。地形的特徴が擬態デザインを通して別の何かに見立てられた時、新たなに見えてくる意味を期待し、さまざまな地図でない地図を可視化した。